【測定方法なび♪】

測定方法なび♪では血圧計による血圧測定の仕方・手順・測定部位・計測の目的から左右差がある場合の留意点について入門者向きにわかりやすく解説しております。

血圧測定の仕方・手順・計測の目的(もくじ)

◆血圧測定の目的・意義について

 血圧測定はおそらく誰もが一度は病院や健康診断などで経験のあるかと思います。

 血圧測定を行う目的は、体の状態を数値として確認する、いわゆる体からの合図を血圧計などの計測器で確認することが目的です。

 このように体からの合図(サイン)を読み取ることは健康状態を把握する上で大変重要であり、体からの合図はバイタルサインとも呼ばれます。

 バイタルサインとは「生命維持」を示す指標であり、血圧測定の他にも体温や、心拍数・脈拍数などの項目があります。

 これらのバイタルサインは全て私達人類だけでなく多くの生物に共通する細胞や臓器などの活動状態を示す重要な信号とも言えるのです。

◆血圧とはそもそも何だろう?

 血圧測定を行う目的は理解できたじゃろうか?

 ではここで、血圧とはそもそも何を示すものなのか?という基本的な血圧に関する知識について念のために確認しておくとしよう。

 血圧測定で計測される血圧数値はその名の通り圧力を測定しておる。

 この圧力とは心臓から送り出される血液が「血管壁」に加える圧力の事を指しておるのじゃ。

◆最高血圧と最低血圧の意味とは?

 血圧測定を何度も行った経験がある方は、上の血圧が幾つで下の血圧が幾つと2つの測定結果数値を確認していたはずじゃ。

 そしてこの2つの数値は上が最高血圧、下が最低血圧であることもご存知じゃろう。

 ここでもう少し詳しくこの2つの数値を紐解いていくと、最高血圧は「収縮期血圧」とも呼ばれ、最低血圧は「拡張期血圧」とも呼ばれておるのじゃが、これは心臓の状態を示している点は覚えておきたいポイントじゃ。

☆最高血圧=収縮期血圧
☆最低血圧は「拡張期血圧

 収縮期血圧が示す収縮期とは心臓が収縮し大動脈から血液が勢い良く全身に送り出される状態のこと。

 心臓が小さく収縮する事で血液が勢い良く全身に送られるため「血管壁」に加わる圧力は当然高くなることは解るのぉ。

 逆に拡張期血圧が示す拡張とは、全身を流れてきた血液が肺静脈から心臓へ戻ってくる為、心臓が血液でいっぱいになっている状態のこと。

 心臓はこの拡張期では大動脈弁が閉じる構造になっており、血管壁への圧力は小さくなるという訳じゃ。

 最高血圧と最低血圧という言葉は血圧測定では欠かせない言葉じゃが、心臓の収縮・拡張の状態の違いで血管に加わる圧力が変化している点を覚えておくと血圧数値がより身近に感じられるようになるかもしれんのぉ。

◆血圧測定ではコロトコフ音を頼りに血圧を計測する

 血圧測定では心臓の収縮期と拡張期の双方で血管に加わる圧力を測定していることはここまで解説してきたとおりじゃ。

 しかし、血管は体内に無数の数があり深部に存在するため、直接血管内に血圧計を組み込んで測定する事はもちろん不可能であることはわかるのぉ。

 では血圧計はどのようにして血管内に加わる圧力を測定しておるのか疑問に感じる方もいるはずじゃ。

 このヒントは病院で看護師さんが血圧を測定している時に耳につけている聴診器がひとつのヒントとなる。

 近年は高精度の電子血圧計が増えてきており、聴診器を頼りに血圧の計測を行う姿を見たことがない方もおるかもしれんが、この聴診器を利用する水銀血圧計による血圧測定は今でも多くの病院で主流の測定方法のひとつ。

 看護師さんがじっと水銀血圧計を見つめながら聴診器から聞こえる音に耳をすましているのは、血管内の振動音を確認しておるため。

 この血圧計が計測する振動音は「コロトコフ音」と呼ばれる血圧数値を確認するための重要な指標のひとつじゃ。

※コロトコフ音とは?(豆知識)
 コロトコフ音とはロシアの外科医であり軍医でもあったニコライ・セルゲイエヴィチ・コロトコフの名前からつけられた血圧測定の際に確認される振動音の事。水銀血圧計とカフを用いて最高血圧と最低血圧をコロトコフ音(K音)から計測する。
 ニコライ・コロトコフは赤十字医療隊へ自ら志願し日露戦争や第一次世界大戦などの軍医としても活躍。最高血圧だけでなく最低血圧の測定を同時に行えるコロトコフ音を活用する測定方法は現在では世界の標準的な血圧測定方法として普及している。
 尚、水銀血圧計だけでなく近年広く普及し始めている電子血圧計もコロトコフ音をマイクロフォンによって感知することで測定を行なっている為、原理は同じである。

◆血圧測定の仕方・手順

 水銀血圧計を使用する際の実際の血圧測定の仕方、及び手順についてここではひとつずつチェックしていくとしよう。

 水銀式の血圧計の場合はカフに加わる圧力及び振動が水銀計内の目盛りを上下させる仕組みとなっておる。

 尚、血圧計の単位は(mmHg)という単位で計測するのじゃよ。

血圧測定の仕方・手順一覧表
手順手順内容の解説
@上腕部(右でも左でも構いません)の動脈の位置を確認します。上腕部の動脈の探し方は肘関節から子供の場合は上方3〜5cmの範囲、大人の場合は上方4〜6cmの力こぶの内側のあたりが目安です。上腕部を支えるようにつかみ力こぶのやや内側部分に親指を当てるとドクンドクンと血流の拍動を感じられる部分があります。この部分がカフの振動板を装着する部位となります。
A上腕部にカフを装着します。(※カフとは主にグレー色が多い腕に装着する帯体のこと)装着時はカフが上腕をしっかり覆うように装着し振動板が@で探した上腕の動脈ポイントにあたるように装着することがポイントです。カフの締め付けの際には、締めすぎに注意し指が1本入る程度の隙間を残しておくことも大切です。尚、カフの装着時には出来る限りゆったりとした服装を心がけるようにしましょう。(※注意点:長袖の服で上腕の肩あたりまで袖をまくりあげた状態で測定を行うと、袖の部分の圧力が上腕に加わってしまうため、正しい血圧測定ができなくなってしまうため注意が必要です。)
B聴診器を耳にセットし振動板が触れている上腕測定部位を胸の高さ(心臓の高さ)と同等の高さに保った状態でゴム状のポンプを握りながら徐々にカフに空気を送り込んでいきます。一定の圧力が加わると血流の流れがカフの圧力によって停止します。
C血流の流れが止まった状態になったら聴診器の装着を再度確認し、水銀計を確認しながら主にゴムポンプ部分に装着されている空気のバルブを緩め、今度は徐々にカフの圧力を弱めていきます。
Dカフの圧力を少しずつ弱めていくと、ある位置に達するとコロトコフ音が聞こえ始めるタイミングを見つけることができます。これは血流の流れが再開しはじめた合図でもあり、このコロトコフ音が聞こえ始めた時に水銀計が示している数値が最高血圧(収縮期血圧)となります。
E最高血圧数値の確認が終わったらそのまま継続してカフの圧力を弱めていきます。コロトコフ音は徐々にゆっくりと変化していきある位置に達すると最終的に音が聞こえなくなるタイミングを見つけることができます。このコロトコフ音が途切れた時に水銀血圧計が示している数値が最低血圧(拡張期血圧)となります。

◆血圧測定数値の左右差の留意点

 血圧測定を行う際に右腕で測定すべきか?左腕で測定すべきか?という疑問を抱いたことがある方も多いかもしんのぉ。

 また、血圧測定では左右差がある為、どちらか決まった方の腕で測定を継続的に行うことが大切という言葉を耳にしたことがある方もいるじゃろう。

 この血圧測定数値の左右差に関しては、右と左では平均的な統計では左側の数値が若干高い血圧数値を示す傾向にあることが確認されておるのも事実じゃ。

※血圧測定値の左右差
統計的には左腕の方が数値が高くなる傾向がある

 但し、この数値は統計上の話で個人差がある為、全ての個人に当てはまるという訳でもないのじゃな。

 では、いったいどちらを優先すべきか?となってくる訳じゃが、この判断指標としては「数値が高い方を優先する」と覚えておくと良いじゃろう。

※血圧測定で左右差が確認される場合は高い数値を優先する

◆血圧測定を行う際に覚えておくべき2つのポイント

 血圧測定数値で左右差がある場合に高い方の数値を原則として採用する理由は、狭窄性障害等の血流状態を過小評価して見過ごしてしまう事がないように配慮が必要となるためじゃ。

 高血圧状態を示す場合に疑われる病気や疾患を確認する際に、少ない方の数値を基準としているとバイタルサインを正確に読み取れていない可能性が検討される。

 特に血圧計が測定する振動(コロトコフ音)は血管狭窄が確認される場合に「乱流」と呼ばれる振動の乱れが生じ血管が圧迫される分血圧は高い数値を示す。

 血管狭窄を伴う代表的な病気としては動脈硬化等があるが、左右差のある低い数値を採用しているとバイタルサインの過小評価をしているケースも想定され、病気の早期発見の可能性が損なわれるケースも出てくる為じゃ。

 しかし、日頃から低血圧状態が続いている場合は逆に最低血圧数値を低く見積もってしまう可能性もある為、最善の方法としては多少手間はかかるものの両方の腕を毎回測定し左右差を全て記録しておくことがベストと言えるじゃろう。

 血圧測定の最大のポイントを簡潔に2点にまとめると

毎回同じ部位、同じ側で測定する事

左右差に関しては数値が高い方の数値を原則として優先する事

 以上2点のポイントを抑えておくことが大切と言えるじゃろう。

◆血圧計の種類と測定部位について

 血圧数値は前述してきた通り、左右差を生じるケースもあるが、測定部位によっても数値は変動することはしっかり把握しておくべきポイントじゃ。

 血圧計の種類は様々なタイプが開発されており、従来の上腕部を測定するタイプから、手首(撓骨部位)で測定するタイプ、そして指先で血圧を測定するタイプまで測定部位も幅広い。

 これらの血圧計はどのタイプを使用しても構わないが、血圧測定を行う際に留意しておくべき事は、毎回同じ部位で、出来る限り同じ環境、同じ時間帯で測定を継続してく点にある。

 冒頭でも解説した通り、血圧は生命活動状態を数値化して確認するバイタルサインの一つじゃ。

 このバイタルサインのチェックは日々の継続的な記録を行うことで数値の変動を確認していく事が重要なのじゃが、毎回測定部位が異なったり、時間帯や測定時の姿勢が異なると正しいバイタルサインの記録を行なっているとは言えなくなってしまうことになる。

 自宅で家庭用血圧計を使用して血圧を測定する場合は、電子血圧計や水銀血圧計等どのような種類の血圧計を使用しているにせよ、同一条件で測定数値を記録していく事が最重要である事をしっかり把握しておくことが大切なのじゃな。